基本情報技術者過去問題 令和元年秋期 午後問6

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問6 プロジェクトマネジメント

販売管理システム開発の結合テストにおける進捗及び品質管理に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。

 製造業のP社では,販売管理システムを構築するプロジェクト(以下,Qプロジェクトという)を進めており,情報システム部門のRさんがプロジェクトマネージャを担当している。P社では,結合テスト工程において,バグ管理図を用いて,テストの進捗とソフトウェアの品質を評価している。本問におけるバグ管理図とは,横軸に結合テスト期間の経過率を,縦軸に未消化テスト項目数及び累積バグ検出数を表したグラフのことである。
 P社では,過去のシステム構築の実績値を基に,テスト項目数及びバグ検出数の標準値を定めており,Qプロジェクトの結合テストで用いる,テスト項目1件当たりのバグ検出数の標準値は,0.02件である。Qプロジェクトにおける結合テスト期間の経過率ごとの未消化テスト項目数及び累積バグ検出数の計画値を,表1に示す。
 Qプロジェクトでは,未消化テスト項目数,消化済テスト項目数及び累積バグ検出数の計画値と実績値から進捗と品質を評価する。また,結合テスト工程では,累積バグ検出数の実績値が,消化済テスト項目数の実績値に基づいて算出した累積バグ検出数の計画値の+25%の範囲内の場合,品質に問題はないと判断する。
 表1を基にしたバグ管理図を,図1に示す。Rさんは,図1に示すバグ管理図に,結合テスト期間の60%が経過した時点(以下,60%経過時点という)の未消化テスト項目数及び累積バグ検出数の実績値をプロットして進捗と品質を評価することにした。結合テストの担当者は,検出したバグの原因調査と修正も行う。結合テストの担当者A~Eそれぞれのテスト項目数の計画値と60%経過時点での消化済テスト項目数及び累積バグ検出数の実績値を,表2に示す。60%経過時点での結合テスト全体の未消化テスト項目数の実績値は図1のa,累積バグ検出数の実績値は図1のb。Rさんはプロットした結果を基に,結合テストは計画どおりには進捗していないと判断した。また,担当者A~Eの60%経過時点での累積バグ検出数の実績値の合計値は,担当者A~Eの60%経過時点での消化済テスト項目数の実績値の合計値に,バグ検出数の標準値である0.02を乗じて算出した累積バグ検出数のcと判断した。

設問1

本文中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
a に関する解答群
  • 実線の折れ線が示す未消化テスト項目数の値より大きく
  • 実線の折れ線が示す未消化テスト項目数の値と等しく
  • 実線の折れ線が示す未消化テスト項目数の値より小さく
b に関する解答群
  • 破線の折れ線が示す累積バグ検出数の値より大きい
  • 破線の折れ線が示す累積バグ検出数の値と等しい
  • 破線の折れ線が示す累積バグ検出数の値より小さい
c に関する解答群
  • 計画値の75%未満なので,品質に問題がある
  • 計画値の75%以上100%未満なので,品質に問題はない
  • 計画値の100%以上125%以下なので,品質に問題はない
  • 計画値の125%を超えているので,品質に問題がある

解答選択欄

  • a:
  • b:
  • c:

解答

  • a=
  • b=
  • c=

解説

表2の数値から未消化テスト件数と累積バグ検出数の合計値を算出し、表1及び図1の計画値と比較します。60%経過時点における計画値は以下の通りです。
pm06_6.png/image-size:510×88
aについて〕
表2のテスト項目数を合計すると、

 500+700+700+800+800=3,500(件)

60%経過時点での消化済テスト項目数の合計は、

 210+390+400+450+300=1,750(件)

よって、未消化のテスト項目数は、

 3,500-1,750=1,750(件)

60%経過時点における未消化テスト項目数の計画値は1,400件なので、実績値は実線の折れ線が示す計画値よりも大きくなります。

a=ア

bについて〕
表2の累積バグ検出数を合計すると、

 4+9+8+11+13=45(件)

60%経過時点における累積バグ検出数の計画値は42件なので、実績値は破線の折れ線が示す計画値よりも大きくなります。

b=ア

cについて〕
消化済テスト項目数1,750件に、テスト項目1件当たりのバグ検出数の標準値0.02を乗じた計画値は、

 1,750×0.02=35(件)

計画値35件に対するバグ検出数の実績値45件の比率は、

 45÷35=1.28578…≒129%

P社では計画値の±25%の範囲内の場合、品質に問題ないと判断しますが、実績値が計画値の125%を超えているので品質に問題があると判断されます。

c=エ

設問2

次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 Rさんは,更に結合テストの担当者ごとの進捗を評価することにした。60%経過時点での担当者ごとの消化済テスト項目数の計画値は,次の式で求める。
pm06_4.png/image-size:411×40
 60%経過時点での消化済テスト項目数の計画値は,表1で示す未消化テスト項目数の計画値に基づいて算出した値である。60%経過時点での担当者ごとの消化済テスト項目数の計画値を,表3に示す。
pm06_5.png/image-size:461×98
 Qプロジェクトでは,結合テスト工程において,消化済テスト項目数の実績値が計画値の±10%の範囲内の場合,進捗に問題はないと判断する。Bさん,Cさん,Dさんの消化済テスト項目数の実績値は計画値の±10%の範囲内であり,累積バグ検出数の実績値も60%経過時点での消化済テスト項目数の実績値に基づいて算出した累積バグ検出数の計画値の±25%の範囲内なので,進捗及び品質に問題はないと判断した。
 Aさんが担当するテストの進捗とソフトウェアの品質に基づく判断は,次のとおりである。
・進捗
消化済テスト項目数の実績値が計画値の90%未満なので,進捗は遅れている。
・品質
バグの検出及び検出したバグの原因調査と修正は,順調に行われている。60%経過時点での消化済テスト項目数の実績値に基づいて算出した累積バグ検出数の計画値は4.2件であり,累積バグ検出数の実績値は計画値の±25%の範囲内なので,品質に問題はない。
 Rさんは,Aさんが担当するテストの進捗が遅れているので,Aさんの作業に問題がないかどうかを確認した。テスト項目の内容及びテスト手順は正しく,報告書も適切に記載されていたが,結合テストデータの作成に時間を要していることが分かった。そこで,RさんはAさんの進捗遅れに対して,eという対応を実施することにした。
d に関する解答群
  • 280
  • 300
  • 360
  • 420
e に関する解答群
  • テスト項目を再度洗い出す
  • テスト要員を追加する
  • テストデータを再作成する
  • テスト証跡の記載を一部省略する
  • テストの結果をAさんの結合テスト完了後に確認する

解答選択欄

  • d:
  • e:

解答

  • d=
  • e=

解説

dについて〕
設問で与えられている式を使って、Bさんの消化済テスト項目数の計画値を求めます。
  • 担当者Bが担当するテスト項目数 … 表2より700件
  • 結合テスト全体のテスト項目数 … 表1より3,500件
  • 60%経過時点での消化済テスト項目数 … 表1より「3,500-1,400=2,100件」
計算式に各値を代入すると、

 700×(2,100÷3,500)=700×0.6=420(件)

d=エ:420

eについて〕
Aさんの進捗遅れの原因は「結合テストデータの作成に時間を要している」ことです。ソフトウェア品質、テスト項目の内容及びテスト手順は正しいので、作業の不慣れなどによってテストが遅れてしまっている可能性が考えられます。作業の遅さが原因であれば、テスト要員を追加投入することで進捗遅れの改善が見込めます。
  • テスト項目の内容は正しいので再度洗い出す必要はありません。
  • 正しい。テスト要員を追加投入すれば進捗遅れを改善できます。
  • テストデータに誤りがあるわけではないので再生成する必要はありません。
  • テスト証跡は、テストの正当性やシステムが設計通りに動くことを証明するものです。テスト品質を管理するためにも確実に残さなければなりません。
  • Aさんの結合テスト実施中に問題が生じても対処できないので不適切です。
e=イ:テスト要員を追加する

設問3

次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 Rさんは,60%経過時点でのEさんの消化済テスト項目数の実績値が計画値の90%未満であり,累積バグ検出数の実績値が消化済テスト項目数の実績値に基づいて算出した累積バグ検出数の計画値よりも大きくなっていたので,原因を調査することにした。Eさんは,Eさん以外の担当者が単体テストまでを行った機能1~5の結合テストを担当している。各機能は独立してテストが可能であり,機能1から順番にテストを行う計画である。
 調査の結果,Eさんは機能1のテストは順調に完了したが,機能2のテストがはかどっていないことが分かった。理由を確認すると,機能2はバグの検出数が多く,バグの原因調査に時間を要したからであった。そこで,これまでに機能2で検出されたバグの原因を調査した結果,"詳細設計書の論理誤り"が多く見受けられた。Rさんは,更に,機能2の詳細設計を担当した者(以下,機能2担当者という)が詳細設計を担当した他の機能について,その結合テストの進捗を確認したところ,いずれの機能も結合テストの開始前であった。いずれの機能も,機能2と同じように問題が発生するおそれがあるので,Rさんは,販売管理システムに精通した要員を追加して,fを実施することにした。
f に関する解答群
  • Eさんがテストを担当した機能の詳細設計書の再レビュー
  • 機能2担当者が担当した機能の詳細設計書の再レビュー
  • 全機能の詳細設計書の再レビュー
  • 販売管理システムの要件を理解するための勉強会

解答選択欄

  • f:

解答

  • f=

解説

fについて〕
機能2で検出されたバグの原因には"詳細設計書の論理誤り"が多かったと説明されています。ソースコードの作成は詳細設計書を基にして行いますので、詳細設計書が誤っていれば出来上がるソフトウェアも誤りを含んだものになります。このため、機能2の詳細設計を担当した者が詳細設計を担当した他の機能についても同様の誤りが多数含まれ、今後の結合テストの進捗に悪影響を与える可能性が考えられます。

問題となるのは、機能2担当者が詳細設計を担当した他の機能なので、それらの詳細設計書を欠陥修正のために再レビューし、結合テスト前に早期是正できれば、その後のテストをスムーズに進めることができます。

f=イ:機能2担当者が担当した機能の詳細設計書の再レビュー

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