基本情報技術者過去問題 令和元年秋期 午後問5

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問5 ソフトウェア設計

ストレスチェックの検査支援を行うシステムに関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。

 K社は,厚生労働省が作成した"労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(平成28年4月改訂)"を基に,労働者の,職業上の心理的な負担の程度を把握するための検査を支援するシステムを開発している。このシステムは,"職業性ストレス簡易調査票"の質問の全てに回答が入力されると,質問項目の領域ごとに回答の合計点を求めて,高ストレス者を簡易的に判別する。

〔職業性ストレス簡易調査票の説明〕
  • 職業性ストレス簡易調査票には,全部で57項目の質問があり,次の4領域に分類される。
    領域A
    職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する質問(17項目)
    領域B
    心理的な負担による心身の自覚症状に関する質問(29項目)
    領域C
    職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する質問(9項目)
    領域D
    仕事及び家庭生活の満足度に関する質問(2項目)
  • 各質問に対して,四つの選択肢から一つを選択して回答する。各選択肢には,あらかじめ点数(1,2,3,4点のいずれか)が割り振られている。領域Aの一部を例に,質問,選択肢,回答例及び回答例での点数を,表1に示す。
〔高ストレス者を判別する方法〕
  • 領域ごとに,質問に対する回答の合計点を求める。
  • 次のいずれかを満たす場合に,高ストレス者と判別する。領域Dの合計点は,高ストレス者の判別には利用しない。
    1. 領域Bの合計点が77点以上である。
    2. 領域Bの合計点が63点以上76点以下であって,かつ,領域A及びCの合計点の和が76点以上である。
 合計点によって高ストレス者と判別する〔高ストレス者を判別する方法〕の(2)の①及び②の範囲を,図1に示す。図1の網掛けの範囲に入る場合は高ストレス者であるとし,それ以外の場合は高ストレス者ではないとする。

設問1

図2中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 職業性ストレス簡易調査票の回答結果から高ストレス者を判別する処理の流れ図を,図2に示す。変数"判別結果"に初期値として0を格納しておき,高ストレス者と判別した場合は,"判別結果"に1を格納する。
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a,b,c,d に関する解答群
  • 62点以下
  • 62点以上
  • 63点以下
  • 63点以上
  • 63点以上かつ76点以下
  • 63点以上かつ77点以下
  • 75点以下
  • 76点以上

解答選択欄

  • a:
  • b:
  • c:
  • d:

解答

  • a=
  • b=
  • c=
  • d=

解説

この流れ図では、終了時に判定結果が0だったときは"高ストレス者ではない"と判別され、判定結果が1だったときは"高ストレス者である"と判別されるようになっています。分岐条件が問われていますが、本文中の条件に忠実に解答していけば正解できるはずです。

高ストレス者と判別される条件は次の2通りです。
  1. 領域Bの合計点が77点以上である。
  2. 領域Bの合計点が63点以上76点以下であって,かつ,領域A及びCの合計点の和が76点以上である。
aについて〕
流れ図を見ると、領域Bの値がaのときには判定結果が0のまま終了しています。これは、領域Bの値だけで高ストレス者ではないと判別されるケースに該当します。図1「高ストレス者と判別する範囲」を見てもわかるように、領域Bの合計点が62点以下の場合には他の領域の点数に関係なく高ストレス者ではないと判別されます。よって、aには62点以下が入ります。

a=ア:62点以下

bについて〕
右側の分岐では、領域A及びCの合計点によって判定結果を分けています。これは、条件②の領域Bの合計点が63点以上76点以下のときに行う処理です。よって、bには63点以上かつ76点以下が入ります。

b=オ:63点以上かつ76点以下

cについて〕
cの分岐先では判別結果に1を格納する処理を行っています。右側の分岐において判定結果を1にする(高ストレス者と判別する)のは、領域A及びCの合計点の和が76点以上の場合です。よって、cには76点以上が入ります。

c=ク:76点以上

dについて〕
領域A及びCの合計点の和が76点以上は高ストレス者ですが、それに該当しない場合は高ストレス者でないと判別されます。dの分岐先では何の処理も行わず判別結果を0のままにしているので、領域A及びCの合計点の和が76点に満たない場合、つまり75点以下の場合の分岐先となります。よって、dには75点以下が入ります。

d=キ:75点以下
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設問2

次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 このシステムのテストに備えてテストデータを用意した。各テストデータは,領域A~Cの回答の合計点が表2に示す合計点になるように回答が入力された職業性ストレス簡易調査票である。
 図1に基づいて,①,②及びそれ以外の場合を判別できるかどうかをテストするには,テストデータeを使用する。また,図2の流れ図で,分岐による全てのパスを通るテストをするには,テストデータfを使用する。ここで,どちらのテストも,使用するテストデータの件数が最少となるように実施する。
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e,f に関する解答群
  • 1,2及び3
  • 1,2及び4
  • 1,3及び6
  • 2,4及び6
  • 4,5及び6
  • 1,2,3及び4
  • 1,3,4及び5
  • 1,4,5及び6
  • 2,4,5及び6

解答選択欄

  • e:
  • f:

解答

  • e=
  • f=

解説

まず、わかりやすいように流れ図中のパスに①~④の番号を付けておきます。
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テストケースが通るパスは必ず①~④のどれかに分類されます。表2の各テストデータが通るパスは次の通りです。
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eについて〕
①②及びそれ以外という3つの場合をテストできる組合せを考えます。テストケースは3つで済むので「ア」から「オ」から選ぶことになります。

①をテストできるのはテストデータ2及び4、②をテストできるのはテストデータ6なので、(2, 4)から1つ、6、それ以外の1つという組合せになっていなければなりません。この条件を満たすテストデータの組合せは「オ」だけです。

「ア」「イ」は②をテストするテストデータ6が含まれていないので不適切、「ウ」は①をテストするテストデータ2又は4が含まれていないので不適切、「エ」は①②以外をテストするデータが含まれていないので不適切です。

e=オ:4,5及び6

fについて〕
全てのパスをテストしたいので上記①~④を全てカバーしているテストデータの組合せを選びます。パスは4つなのでテストデータも最低4つ必要です。

先程と同様に、①をテストできる(2, 4)から1つ、②をテストできる6、③をテストできる5、④をテストできる(1, 3)から1つという組合せになっていなければなりません。この条件を満たすテストデータの組合せは「ク」だけです。

「カ」「キ」「ケ」は②をテストするテストデータ6が含まれていないので不適切、「コ」は③をテストするテストデータ1又は3が含まれていないの不適切です。

f=ク:1,4,5及び6

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