平成25年秋期試験午後問題 問6
問6 プロジェクトマネジメント
プロジェクトの実績管理に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
製造会社のA社は,業務改革に伴い,新システムを開発している。
〔プロジェクトの概要〕
製造会社のA社は,業務改革に伴い,新システムを開発している。
〔プロジェクトの概要〕
- 新システムは,三つのサブシステムから成り,総数 120 本のプログラムで構成されている。プログラムには,複数のサブシステムで使用される共通プログラムとサブシステム固有のプログラム(以下,固有プログラムという)の2種類がある。プログラムの本数の内訳は,共通プログラムが 30 本,固有プログラムが 90 本である。
- 新システムをプロジェクトのメンバー 10 名で分担して開発する。
- プログラム1本当たりに掛かる工数は,過去のプロジェクト実績を基に算出している。内部設計に掛かるプログラム1本当たりの工数(以下,内部設計の標準工数という)は,共通プログラム,固有プログラムともに 8 人時/本である。また,プログラミングに掛かるプログラム1本当たりの工数(以下,プログラミングの標準工数という)は,共通プログラム,固有プログラムともに 10 人時/本である。
- 外部設計工程の終了時に見積もった内部設計工程とプログラミング工程の作業計画を表1に示す。表中の計画本数及び計画工数は,各週で作成するプログラムの本数及び作成に掛かる作業の工数の計画値である。
- 内部設計での1人時当たりに作成できるプログラム本数を内部設計の生産性といい,プログラミングでの1人時当たりに作成できるプログラム本数をプログラミングの生産性という。
- 共通プログラムの内部設計を先に行い,完了した後に固有プログラムの内部設計を行う。同様に,共通プログラムのプログラミングが完了した後に,固有プログラムのプログラミングを行う。
- 内部設計及びプログラミングにおける生産性は,計画値及び実績値ともにメンバー全員等しいものとする。ここで,各メンバーの1日の作業時間の上限は 8 時間であり,1週間の作業日数は 5 日である。
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設問1
内部設計工程の途中段階における進捗状況の分析に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
内部設計工程の開始から2週間が経過した時点での各週の実績値を表2に示す。 プログラム総本数に対する内部設計が完了した本数の比率を,内部設計の進捗率(%)という。内部設計工程の開始から2週間が経過した時点で,実績値に基づいた進捗率が計画値に基づいた進捗率を約aポイント下回っており,進捗にやや遅れが生じている。また,内部設計の生産性の実績値は,bが計画値を下回っており,全体としても内部設計の生産性の実績値が計画値を下回っている。
しかし,残りのプログラムを,表2が示す実績値と同じ生産性で内部設計ができると仮定した場合,残り工数の予測値はc人時となり,進捗にやや遅れがあるものの,内部設計をこのまま進めても第3週末までに終えられると判断した。
内部設計工程の開始から2週間が経過した時点での各週の実績値を表2に示す。 プログラム総本数に対する内部設計が完了した本数の比率を,内部設計の進捗率(%)という。内部設計工程の開始から2週間が経過した時点で,実績値に基づいた進捗率が計画値に基づいた進捗率を約aポイント下回っており,進捗にやや遅れが生じている。また,内部設計の生産性の実績値は,bが計画値を下回っており,全体としても内部設計の生産性の実績値が計画値を下回っている。
しかし,残りのプログラムを,表2が示す実績値と同じ生産性で内部設計ができると仮定した場合,残り工数の予測値はc人時となり,進捗にやや遅れがあるものの,内部設計をこのまま進めても第3週末までに終えられると判断した。
a に関する解答群
- 4
- 8
- 11
- 15
- 20
b に関する解答群
- 共通プログラム
- 共通プログラム及び固有プログラム
- 固有プログラム
c に関する解答群
- 240
- 260
- 300
- 320
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- a=イ
- b=ア
- c=ア
解説
〔aについて〕プログラムの総数は120本であり、2周目終了時点で100本の内部設計が完了する計画だったので、第2週までの進捗率の予定は、
100本÷120本=0.8333…≒83%
実績は2週目終了時点で90本の内部設計が完了したので、
90本÷120本=0.75=75%
したがって約8%の進捗遅れが生じていることがわかります。
a=イ:8
〔bについて〕
プログラムの総数120本のうち、共通プログラムは30本、固有プログラムは90本です。設問内に内部設計の「共通プログラム」→「固有プログラム」の順序で実施されるとあるので、第1週、第2週で設計を行ったプログラムの内訳は次のようになります。
- [第1週] 共通プログラム30本、固有プログラム10本
- [第2週] 固有プログラム50本
第2週は固有プログラムだけなので、固有プログラムの生産性は、
400人時÷50本=8人時/本
第1週に行われた10本の固有プログラムの生産性もこれと同じだとすると、固有プログラムの工数は「10本×8時間=80人時」になるので共通プログラムの生産性は、
(380人時-80人時)÷30本=10人時/本
計画は双方が8人時/本の生産性だったので、計画値を下回っているのは共通プログラムのみとわかります。
b=ア:共通プログラム
〔cについて〕
第2週終了時点で、共通プログラム30本、固有プログラム60本の内部設計が完了しているので、第3週に残るのは固有プログラム30本のみです。
前述の計算で固有プログラムの生産性は8人時/本とわかっているので、これと同じ生産性であれば残りの工数は次のように求められます。
30本×8人時=240人時
c=ア:240
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設問2
プログラミング工程の計画変更に関する次の記述中のに入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
内部設計の生産性の実績値が計画値を下回っていた原因は,今回のプロジェクトが過去のプロジェクトと比べて,予定した内部設計を上回るレベルまで詳細に内部設計が行われていたためである。このため,プログラミングの生産性では,実績値が計画値を上回ることが期待できる。
そこで,プログラミングの標準工数を見直し,共通プログラムを 8 人時/本に,固有プログラムを 9 人時/本に変更することにした。また,1本のプログラムを複数メンバーで作ることも可能とした。変更後の標準工数を用いてプログラミング工程の総工数を再計算すると,当初の総工数よりもd人時の工数削減が見込める。この工数削減の見込み値を基に,プログラミング工程の各週の作業計画を変更することにした。
プログラミング期間を短縮するだけであれば,表3に示す作業計画で,メンバー全員に対して,第 4~6 週の日々の上限時間までプログラミングに専念させればよい。しかし今回は,テストの開始を当初計画よりも前倒したいと考え,第4~6週の期間にプログラミングとテストを並行して実施することにした。また,第3週のプログラミングの計画本数は 10 本とした。
ここで,内部設計工程の開始から2週間経過した時点での予測どおり,内部設計工程は第3週で終了すると仮定し,第4週及び第5週のいずれの週も週末の時点において仕掛中のプログラムはないようにする。 テストを並行して実施する作業計画では,第 4~6 週の各週のプログラミング工数ができるだけ均等になるようにして,余った時間でテストを実施する。表4は,それを考慮してプログラミングの本数を配分したものであり,第 4~6 週の各週のプログラミング工数の差は最大f人時である。
内部設計の生産性の実績値が計画値を下回っていた原因は,今回のプロジェクトが過去のプロジェクトと比べて,予定した内部設計を上回るレベルまで詳細に内部設計が行われていたためである。このため,プログラミングの生産性では,実績値が計画値を上回ることが期待できる。
そこで,プログラミングの標準工数を見直し,共通プログラムを 8 人時/本に,固有プログラムを 9 人時/本に変更することにした。また,1本のプログラムを複数メンバーで作ることも可能とした。変更後の標準工数を用いてプログラミング工程の総工数を再計算すると,当初の総工数よりもd人時の工数削減が見込める。この工数削減の見込み値を基に,プログラミング工程の各週の作業計画を変更することにした。
プログラミング期間を短縮するだけであれば,表3に示す作業計画で,メンバー全員に対して,第 4~6 週の日々の上限時間までプログラミングに専念させればよい。しかし今回は,テストの開始を当初計画よりも前倒したいと考え,第4~6週の期間にプログラミングとテストを並行して実施することにした。また,第3週のプログラミングの計画本数は 10 本とした。
ここで,内部設計工程の開始から2週間経過した時点での予測どおり,内部設計工程は第3週で終了すると仮定し,第4週及び第5週のいずれの週も週末の時点において仕掛中のプログラムはないようにする。 テストを並行して実施する作業計画では,第 4~6 週の各週のプログラミング工数ができるだけ均等になるようにして,余った時間でテストを実施する。表4は,それを考慮してプログラミングの本数を配分したものであり,第 4~6 週の各週のプログラミング工数の差は最大f人時である。
d に関する解答群
- 90
- 120
- 150
- 180
e に関する解答群
f に関する解答群
- 2
- 6
- 10
- 16
- 18
解答選択欄
- d:
- e:
- f:
- d=ウ
- e=キ
- f=ア
解説
〔dについて〕プログラムの総数は120本、計画における生産性は10人時/本なので、当初の予定工数は、
120本×10人時=1,200人時
見直しによって共通プログラム30本の生産性が8人時/本、固有プログラムが9人時/本になったので変更後の工数は、
30本×8人時+90本×9人時
=240人時+810人時=1,050人時
したがって削減される工数は150人時が適切です。
d=ウ:150
〔eについて〕
第3週に共通プログラム10本のプログラミングが終了しているので、第4週から第6週では残る共通プログラム20本と固有プログラム90本のプログラミング作業を行います。共通プログラムのプログラミングが完了した後に、固有プログラムのプログラミングを行うという条件があるので、共通プログラムを優先して割り当てていきます。
まず共通プログラム20本の工数は、
20本×8人時=160人時
1週間の最大工数は400人時(8時間×5日×10人)で、ここから共通プログラム分の工数を減じた「400-160=240人時」を固有プログラムの作業に割り当てることができるので、
240人時÷9人時=26.666…本
問題文中に「週末の時点においては仕掛中のプログラムはないようにする」と記述されているので、第4週の固有プログラムの最大作業本数は端数を切り捨てた26本になります。したがって、第4週では「共通20本+固有26本=合計46本」のプログラミング作業を実施可能です。
続く第5週では残る固有プログラムに対する作業を行うので、400人時内で行える限度数となる
400人時÷9人時=44.444…→44本
最後の第6週では、残るすべての固有プログラムを完成させます。第4週では26本、第5週では44本が完成しているので
90本-26本-44本=20本
各週の本数をまとめると、第4週…46本,第5週…44本,第6週…20本 になります。
e=キ
〔fについて〕
テストを並行して実施する作業計画では、第4週から第6週のプログラム本数が平準化されています。
共通・固有の内訳に注意して、各週の工数を計算すると以下のようになります。
- [第4週] 共通20本、固有18本
- 20本×8人時+18本×9人時=160人時+162人時=322人時
- [第5週] 固有36本
- 36本×9人時=324人時
- [第6週] 固有36本
- 第5週と同じ324人時
f=ア:2
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