基本情報技術者過去問題 平成26年春期 午後問4

⇄問題文と設問を画面2分割で開く⇱問題PDF

問4 ネットワーク

ネットワークにおけるスループットの改善に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。

 X社は,東京に本社を,札幌,大阪,広島に営業所をもっている。X社は,広域Ethernetを利用した企業ネットワークを構築済みである。X社のネットワーク構成を図1に示す。ここで,本社と営業所との間のファイル転送時間に注目し,本社内及び営業所内のファイル転送時間は考慮しない。
〔X社のファイル転送〕
 X社では,各業務システムにおいて,東京本社内にあるファイルサーバ上のファイルを各営業所内の利用者PC(以下,PCという)から利用している。各営業所からファイルサーバには広域Ethernet経由でアクセスしている。①広域Ethernetはデータリンク層で接続するサービスであり,各営業所内のLANは広域Ethernetにアクセスポイントで接続している
 ファイルサーバとPCとの間でファイル転送を行う際には,図2に示すように,PCからファイルサーバに対して読出し要求を行う。ファイルサーバは,ファイルを固定サイズのブロック(以下,データブロックという)に区切つて,PCへ送信することを繰り返す。2回目以降は,PCからの読出し要求に確認応答が含まれており,ファイルサーバは,PCから確認応答が届くまで次のデータブロックを送信することができない。PCが読出し要求をファイルサーバへ送出し始めてから,ファイルサーバの送信したデータブロックが届き始めるまでを応答時間と呼ぶ。この応答時間は,札幌又は広島営業所と東京本社との間が45ミリ秒,大阪営業所と東京本社との間が24ミリ秒であった。ここで,通信障害による再送はないものとする。
 このネットワーク構成では,広島営業所内のPCと東京本社のファイルサーバ間で,1Mバイトのファイルをブロック長が4kバイトのデータブロックで転送するには,a秒掛かる。
〔接続装置の検討〕
 図3に示すように,ファイル転送の高速化のために,広域Ethernetへの接続装置の導入を検討することになった。接続装置は,本社と各営業所にそれぞれ設置され,広域Ethernetを挟んで対向して使用される。
 この接続装置は,PCに代わって読出し要求をファイルサーバへ送ることができ,ファイルサーバは連続してデータブロックを送信できるようになる。この接続装置を利用した場合のファイル転送の通信シーケンスを図4に示す。
 接続装置を導入すると,札幌営業所内のPCと東京本社のファイルサーバとの間で,1Mバイトのファイルをブロック長が4kバイトのデータブロックで転送するには,b秒掛かる。ここで,ファイルサーバと接続装置との間及びPCと接続装置との間の,読出し要求とデータブロックの転送時間は考慮しない。

〔アクセス回線速度の検討〕
 X社では,業務の都合から,大阪営業所内のPCにおいて 1Mバイトのファイルをブロック長が4kバイトのデータブロックで,8秒以内に転送する必要がある。接続装置を導入しない場合,大阪営業所のアクセス回線速度は最低でも,cMbpsで広域Ethernetの契約をする必要があることが分かった。

設問1

X社のネットワーク構成において,本文中の下線①の説明文として適切な答えを,解答群の中から選べ。
解答群
  • 広域 Ethernet のアクセスポイントへは,各営業所及び本社からネットワーク層の機能をもつ装置を経由して接続しなければならない。
  • サーバやPCなど,全ての接続機器のネットワーク層のアドレス設定を同一にする必要がある。
  • 社内の業務システムにおいて,様々な通信プロトコルをネットワーク層で利用することができる。
  • X社では,TCP/IP以外のプロトコルを使うことができない。

解答選択欄

  •  

解答

  •  

解説

広域イーサネット(レイヤー2 VPN)は、地理的に離れた場所にあるLAN同士を接続したネットワーク、又はそれを実現する接続サービスです。
IPネットワークを利用するIP-VPN(レイヤー3 VPN)と比較すると以下のような特徴があります。
  • データのやり取りをMACフレームで行う
  • ネットワーク構成の自由度が高い
  • IP以外の通信プロトコル(AppleTalkやIPX)を利用している場合でも利用可能
  • RIP、OSPF、IGRP、IS-ISなどの多様なルーティングプロトコルを設定可能
  • WANへの接続にLANスイッチなどの安価な機器が使える
  • ルーティングテーブルの管理をユーザが実施するためネットワーク設定が煩雑
  • 広域イーサネットのアクセスポイントにはLANスイッチを経由して接続します。
  • IPアドレス設計は自由に行えます。
  • 正しい。
  • TCP/IP以外も使用できます。

設問2

本文中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。ここで,1Mバイト=1,000kバイトとし,小数第3位を四捨五入する。
a に関する解答群
  • 8.00
  • 10.00
  • 11.25
  • 19.25
b に関する解答群
  • 3.14
  • 5.50
  • 9.13
  • 13.40
c に関する解答群
  • 3
  • 4
  • 8
  • 10

解答選択欄

  • a:
  • b:
  • c:

解答

  • a=
  • b=
  • c=

解説

aについて〕
転送時間は、応答時間とデータブロック伝送時間の和になります。

まず応答時間の合計を求めます。1Mバイトのデータを4kバイトのデータブロックに分割すると、

 1Mバイト÷4kバイト=250個

250個に分割されます。ということは、読出し要求〜データブロックの到着に要する応答時間も250回要します。

東京本社−広島営業所間の応答時間は45ミリ秒なので、応答250回分に要する時間の合計は、

 45ミリ秒×250=11.25秒

次にデータブロックの伝送に要する時間を計算します。広域イーサネット−広島営業所間の伝送速度は1Mbps、東京本社−広域イーサネット間が4Mbpsですので、東京本社−広島営業所間の伝送速度は2つの通信速度を比べて遅い方の1Mbpsに制限されます。1Mbpsをバイト単位に変換すると125kバイト/秒なので、データブロックの伝送時間の合計は、

 1Mバイト÷125kバイト=8秒

全体としては、

 11.25秒+8秒=19.25秒

19.25秒の転送時間を要します。

a=エ:19.25

bについて〕
データブロックが10個ごとまとめて転送されるので、応答時間の回数が接続装置をしない場合と比較して1/10になります。

データブロックは先程と同じ4kバイトなので、応答時間の回数は、

 1Mバイト÷4kバイト÷10=25回

東京本社−札幌営業所間の応答時間は45ミリ秒なので、応答時間25回分の合計は、

 45ミリ秒×25=1.125秒

広域イーサネット−札幌営業所間の伝送速度は1Mbps、東京本社−広域イーサネット間が4Mbpsですので、東京本社−札幌営業所間の伝送速度は2つの通信速度を比べて遅い方の1Mbpsに制限されます。1Mbpsをバイト単位に直すと125kバイト/秒なので、データブロックの伝送時間の合計は、

 1Mバイト÷125kバイト=8秒

全体としては、

 1.125秒+8秒=9.125秒

設問の指示にあるように小数第3位を四捨五入すると9.13秒になります。

b=ウ:9.13

cについて〕
aの場合と同じく4kバイトのデータブロックに分割されるので、応答時間は250回生じます。東京本社−大阪営業所間の応答時間は1回当たり24ミリ秒なので、

 24ミリ秒×250回=6秒

応答時間の合計が6秒で、目標転送時間が8秒なのでデータブロックの伝送を2秒以内に終える必要があります。

1Mバイトのデータを2秒で転送するのに必要な回線速度は、

 1Mバイト÷2秒=500kバイト/秒=4Mbps

4Mbpsになります。広域イーサネット−東京本社間も4Mbpsですので、広域イーサネット−大阪営業所間を4Mbpsで契約すれば、東京本社−大阪営業所間が4Mbpsで結ばれることになり、目標転送時間を達成できます。

c=イ:4

平成26年春期 午後問題一覧

問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 採点講評
© 2010-2024 基本情報技術者試験ドットコム All Rights Reserved.

Pagetop